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☆中里若葉お誕生日SSS☆

本日、5月5日は中里若葉の誕生日!
連休中でサイト更新もお休み中なので、勢いだけのお祝い、セカンドシーズン本編後のお誕生日話です。


ではでは、コホン。
皆さん、テキスト(ブックレット)の18Pを開いてくださいね。
その辺りに描かれた若葉の願望を少しだけ形にしてみました。
かなりベタ甘で内容はありませんが、若葉が幸せであればそれでいいのだと思います(笑)。

※セカンドシーズン本編終了後のお話となります。
本編をお楽しみ頂いた後に、読んでくださいね。

※時系列的なものは、あえて目をつむる方向でお願い致します。
出会ってすぐに恋人になるか、若葉が二年生になってしまいますもので……(苦笑)。

※BL的な表現が多数含まれますので、大丈夫な方のみ『続きを読む』からどうぞ。


ウラカレセカンドシーズン『中里若葉編(CV:日野さん)』は全国アニメイトにて発売中です☆
同時発売のマイカレセカキス『梶葉大輔編(CV:宮野さん)』ともども宜しくお願い致します。

山漢


5月5日は中里若葉の誕生日だ。



付き合い始めてから二人で迎える初めての誕生日ともなれば、恋人同士の一大イベントだ。
それも普通の枠には少々収まらない、同性の、しかもお互い相手が生まれて初めての恋人という組み合わせだ。

普段、若葉にあれこれと我慢をさせたり、気を遣わせている自覚がある優はだから、『多少の無理をしてでも盛大に祝ってやらねば!』と、彼には珍しく気負っていた。
部屋にある卓上カレンダーの、5月5日の部分に丸を付け、携帯のスケジュールにも勿論入れた。
妹の舞相手にも、随分前から『この日は約束があるから』と前もって宣言し済みだ。
少し考えて
「……もしかしたら、泊まって来る……かも」
と付け足して、顔の赤さを指摘されたのは、記憶に新しい。

実際のところ、例えカレンダーに印を付けなくたって、その記念すべき日は頭の中に刻み込まれて忘れようがなくて。
あえて言うならその印は、『あと何日』というカウントダウン用に近かった。
まずは若葉の予定を押さえて、欲しいものを聞き出して、プレゼントとして用意して……と、やることリストはいっぱいだ。
あと15日、あと10日、という風に、毎日毎日優は、朝の出がけにカレンダーを確認するのが習慣になった。


そうして、4月も半ばのある日の帰り道。優は、遂に行動を起こした。


「あ、あのさ……!」
「……ん?」

自然に自然に、と意識し過ぎたせいで、逆に不自然になった自覚があった。
いつもの分かれ道、それじゃあここでと言い出す所で、突然ガシッと腕を掴まれた相手が目を丸くしたのが気配で分かった。
気配で……というのは、なんだかとても照れくさくて、顔を上げていられなかったからだ。
優は若葉の腕を鷲掴んだまま、最初の一言が切り出せずに、灰色のコンクリートを睨みつけた。
優が黙りこみ、若葉がそんな優の言葉を待つ形になった為、二人の間には沈黙が落ちる。

(う……)

自ら作った沈黙だ。だが、すぐにそれに居た堪れなくなった優は、無意識に手を離しかけた。
その手を若葉がぎゅっと掴み返してきた。

「……どうした?」

訊きながら、若葉が一歩前に出る。
二人の間の距離が狭まったことで、優の視界には影が落ちた。
その優しい暗がりに包まれた優は、無意識にほっと息を吐き出す。緊張が少しだけ解けた気がした。

「優?」

甘く柔らかな若葉の声。
その声で名前を呼ばれるのは好きだと考えながら、優はようやく本題を切り出した。

「……5月5日、なんだけど」
「ああ」
「お前の、誕生日だろ?」
「ん? ……ああ、そうだな」
「……ま、まだ、空いてる……よな?」
「…………空いてる」

ちなみに、このとき一瞬若葉の返答に間があったのは、中里家の恒例行事として、それぞれの誕生日には(もちろん父親も強制的に含まれる)、母親の千歳の手作り豪華ホールケーキが登場することを思い出したかららしい。
後からそのことを聞いた優は、「教えてくれよっ」と焦ったが、若葉としては最大限空気を読んだ結果だった。
ここまでの会話の流れで、優が若葉の誕生日を祝おうとしてくれているのは確実だったし、若葉からすれば、目の前で耳まで真っ赤にした最愛の恋人が、『必死』と書かれた表情で、ぎゅうっと自分の手を掴んできているのだ。

誕生日がどうとか母親のケーキがどうとかいう以前に、首を縦に振る以外の選択肢は、はなから存在しなくなるのは当然のことだった。

普段は、結構色々と凄いことを平然と言っては若葉を打ちのめしてくる癖に、こういう他愛のない話題に関してはやたらと恥ずかしがる優の基準が相変わらず分からない。
そう考えながらも、真っ黒な目を心なしか潤ませて「あの、さ」と唇を震わせられれば、単純なもので、もう何でも来いという気分になる。

そんなわけで、少し離れた車のクラクションに今にも消え入りそうな声で、

「……一緒に、誕生祝いしたい。一緒に……いたい。……いい、よな?」

と告げられた若葉は、間髪いれずに、ぎゅうっと力いっぱい優を抱き締めたのだった。





*****************




そうして迎えた5月5日。
誕生日当日、優は若葉の部屋にいた。



「………あの、さぁ……」
「ん?」

優は、もう何度目かになる疑問を口にした。

「……どっか行ったり、しなくていいのか?」
「別に。わざわざ人ごみの中に出掛ける必要ないだろ」
「じゃあ、何かしたり?」
「してるだろ? 今、ドラマ鑑賞」
「そ、そりゃ、そうだけど、さぁ……っ」

困惑に下がった眉尻に、ちゅっとキスをされて、優は小さく息を詰める。
ついでに余計な気を遣わなくていいと言わんばかりに、ぎゅうっと抱き締められて、それ以上の言葉は封じられた。
優はこっそりため息をついた。

(……なんつ~か、落ち着くような、落ち着かないような……)

二人の前にはテレビがあった。
そこでは、近所のレンタルショップで借りてきた某海外ドラマのDVDを再生していて、ちょうど主人公が緊迫したシーンを迎えている所だ。
世界中で話題になっただけあって、ドラマ自体はとても面白く、目が離せない展開が続いているのだが、優にはそれに集中しきれない理由があった。

「若葉……あのさぁ、お前……ええと、暑くない?」

優はおずおずと、首をひねって問いかけるが、若葉の返答は決まっていた。

「暑くない。いいから、アンタは大人しく前見てろって」
「……う……ん」

そうは言っても、この体勢が問題だ、と優は思う。
優は今、ベッドに凭れ、床に長い足を投げ出して座る若葉の、その足の間に腰を下ろして、背中を丸丸預ける形で座っていた。
肩には顎が乗せられて、腰にはガッチリと腕が巻き付いている。
隙間なくぴったりと重なった体温に、いつまで経っても気恥ずかしさが消えなかった。
かといって、少しでも距離を取ろうものなら、すぐに不満げに抱き寄せられるのだ。
一体どんな抱き人形だと内心ツッコミを入れつつも、首をひねる優だった。

(ほんとに、誕生日プレゼント、こんなんでいいのかなぁ……)



―――あの日の帰り道。

若葉からの要求は、優の予想の斜め上を行くものだった。

『ドラマ鑑賞、付き合えよ』

はい?と訊き返した優に、若葉は同じことをもう一度言った。

『いつか見たいと思ってたんだよな。シーズン1から全シーズン、俺の部屋のテレビで見ようぜ。
長いけど、ちゃんと最後まで付き合えよな』

5日は連休の中日だから、泊まりがけで。それ以降も休みの日とか、放課後に少しずつでいいから。
そう言われて、そんなものでいいのかと優は半信半疑ながら、頷いた。
部屋で、という単語に不穏な予想が頭をよぎらないわけではなかったが、実際には若葉は、そんな素振りは欠片も見せずに、普通にドラマ鑑賞が始まって、今に至っている。
少々拍子抜けしつつ、自分の発想に赤面したのは秘密の話だ。


DVDのレンタル料金はプレゼント代として優持ちだが、その後は中里家にて千歳に恐縮するくらいに歓待されて、お喋りに付き合って。
業をにやした若葉に連れられて部屋に引っ込んだ後は、豪華なお茶菓子を前に、寛ぐだけだ。

(……ドラマ、面白いし、俺は楽でいいけど……)

若葉はこれで、ちゃんと嬉しいのだろうか。喜んでいるのだろうか。
優はそれが気がかりだった。

「なぁ、若葉」
「ん」

画面に視線を向けたままの若葉に、声は無意識に小さくなった。

「……ほんとに、こんなんで良かったのか? お前の誕生日プレゼント」
「こんなんって……」

『意外なことを言われた』という顔をして、視線を移してくる若葉に、優は更に困惑してしまうのだが、そんな困惑は杞憂なのだと、いつになく上機嫌な若葉の顔が、言葉以上にはっきりと教えてくれるのが、救いといえば救いだった。
優は肩の力を抜いた。苦笑した。

「……お前は、楽しいみたいだけど?」
「ああ、分かるか?」
「顔、緩んでるぞ」
「緩んでるか。……まぁ、そうだろうな。実際、楽しい」
「…………あっそ」

(……否定、しやがらねぇし)

堂々としたものだ。顔が火照るのが少々悔しかった。
一つ息を吐いて、それ以上の問答は諦める優だった。
とりあえず、若葉本人が楽しくて、満足しているのなら、これはこれでいいのだろう。
優は行き場のない照れを抱えながら、手持無沙汰に自分の腰にあった若葉の手を取った。
そうして、ドラマを見ながら暫くの間、なんとなく長い指を触ったり、厚い掌を撫でたりしていると、不意に耳元で笑われて首をすくめた。
なんだよと思いながら横を見ると、若葉がやけに優しい目をして、優を見ていた。

「……なに?」

笑い交じりの、子供をあやすような口調で訊かれた気がするが、折角の誕生日にいちいち突っかかるのも大人げない気がして、スルーしてやろうと決める優だった。

「ん~……いや、お前の手、大きいなと思って」
「そうか?」
「そう。あ~あ、お前、全部が俺よりでかいよなぁ。
……ちょっと悔しいなぁ。……いいなぁ……」

ぼやいていると、その大きな手が、優の手に重なった。
上から指と指とを絡めるようにして、ぎゅっと握られた。
そのまま持ち上げられて、ちゅっと指にキスをされた。

「アンタの手は、形がいいだろ。それに器用に動くし、働き者で、俺は好きだ」
「働き者、かぁ」

その褒め言葉は嫌いじゃない。
満更でもない声が出るのが、自分でも分かった。
優が笑うと、若葉も笑いを深くして、今度は頬にキスをしてきた。
目尻とこめかみにも、続けてキス。
その羽根が触れるような感触がくすぐったくて、優はクスクスと声を出して笑った。
若葉はそんな優をひょいっと抱きあげて、組み直した膝の上に乗せた。
向き合って、悪戯っぽく笑った。

「いい嫁さんの手、だ」

途端に、ピタリと優が笑いを止めるが、気にしない。

「――――それは、嬉しくない」

彼は言葉通りに憮然とした声を出したが、若葉は引かなかった。
恋人のサラサラの黒髪をすきながら、間近で目を覗き込みながら、言った。
強請るように、唇に軽いキスをした。

「ん……っ、若葉」

睨まれても、今は怖くはない。
誕生日だからと、少しだけ気が大きくなっているのかもしれない。
若葉は「いいじゃないか」と囁いて、唇を触れさせながら、言った。

「本当にうちに来いよ。
母さんも、アンタのことは、やたら気に入ってるみたいだから、嫁姑問題もないだろうし。兄貴に至っては、言わずもがなだし」

かなり本気で言った言葉に、しかし優は馬鹿を言ってると、ペチンと額を叩くのだ。

「……お前はもう……馬鹿なこと言ってないで……ドラマ、まだ途中だろ。テレビ見ろ、テレビを」
「……はいはい」

潤んだ黒目の威力は絶対だ。
それに、これ以上は機嫌を損ねると判断した若葉は、逆らわなかった。
発言内容に気を取られて、自分の体勢を忘れている優を、改めて背後から抱き直しながら、彼の気をそらすようにテレビを指さしながら言った。

「アンタは、誰が怪しいと思う」
「え? ……ん~、最初はあの女の人がそうかなって思ったけど……どうなんだろ?」
「ああ、あの金髪の」
「そう」



……幸い、このドラマシリーズは、8シリーズまである。

そのことを腕の中の優が知っているのかどうかは不明だが、若葉としてはそれだけの時間が確保できただけで、大満足だった。


5月5日。

自分が生まれてきたこの日に、深い感謝を。
腕の中の愛しい存在に、溢れんばかりの愛を。





若葉は胸を温かなもので満たしながら、笑った。








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Author:マイカレウラカレスタッフ

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